岩国の『相続手続きスケジュール一覧』。起きやすいトラブルと相続で大変なことも解説

目次

相続は資産を引き継ぐだけじゃない

相続が発生すると、相続人は故人の資産を引き継ぐだけでなく、税金の申告や負債の清算といった一連の手続きも必要となります。
相続税の申告が必要となるケースも少なくなく、相続に関する知識と準備が求められます。
また、相続人間の意見の不一致は遺産分割のトラブルにつながることも珍しくなく、しばしば専門家の介入を要することもあります。
相続で起こりうる問題を把握し、適切に対応することが必要です。
この記事ではいつまでにどんな対応をすればいいかをまとめました。

相続で大変なことと起こりやすいトラブル

相続財産の確定

相続の過程で最初に行う必要があるのが、相続財産の確定です。
相続財産には現金、不動産、株式などの有価証券、貴重品、借金や税金などの債務も含まれます。
財産の全体像を明確にするためには、遺産目録の作成が必要ですが、故人が生前に複数の金融機関に口座を持っていたり、デジタル資産を持っていたりする場合、これらの情報を把握し、整理する作業は非常に複雑で、とても時間がかかります。
遺産目録が不完全だと、後の遺産分割協議でトラブルに発展する可能性が高くなります。
また、新たな財産が発見された場合には、再び分割協議を行う必要が生じることもあります。
そのため相続財産の確定には時間と労力を要し、場合によってはプロの専門家のアドバイスを求めることも必要です。

相続人の確定

相続人を確定する過程も予想以上に困難を伴います。
法定相続人は故人の配偶者、子、親、兄弟姉妹などですが、これらの人々全員の存在を確認し、関係を明確にする必要があります。
特に、故人の家族構成が複雑であったり、海外に住む親族がいたりする場合、戸籍謄本や除籍謄本などの公的文書を収集して相続人を確定させなければなりません。
さらに、この過程で新たな法定相続人が発見された場合、それによって既存の遺産分割計画を見直す必要が出てきます。

遺産分割協議

遺産分割協議は、相続人が故人の財産についてどのように分配するかを決定する手続きです。
この協議は相続人全員の合意が必要であり、個々の利害が衝突するため、非常に感情的になりやすく、家族間の対立などトラブルを引き起すこともあります。
全ての相続人が納得する解決策を見つけるためには、公平性、透明性を保ちながらコミュニケーションを取ることが必要です。
合意に達しない時は、裁判所で調停や裁判によって解決することになります。岩国市の場合、山口家庭裁判所(岩国支部)が管轄となります。時間と費用だけでなく、精神的な負担も大きくなります。
適切な協議の進行のためには、中立的な第三者(弁護士や司法書士)の介入が有効です。

相続手続きスケジュール

遺産相続では、特定の手続きに明確な法定期限が設定されています。
相続を円滑に進めるためには流れを理解し、各種手続きの期限を遵守することが重要です。
ここでは、遺産相続に関連する主な期限について説明します。

期限がある手続き(7日以内~10か月以内)

7日以内

死亡診断書の取得

死亡診断書は、医師が死亡の事実と原因を証明する公的な書類です。
この書類は、死亡が自然なものか、それとも何らかの外部要因が関与しているかを確認するためにも重要です。
死亡診断書は、後続の法的手続き、特に死亡届の提出や火葬許可の申請に必須です。
この書類は通常、病院や医師から受け取ることができ、亡くなった日から7日以内には入手しておく必要があります。

死亡届の提出

死亡届は、死亡事実を法的に届け出るためのもので、届出人は通常、故人の親族か、それが難しい場合は近親者が行います。
死亡届は、故人が亡くなったことを公的記録として残すために重要で、遺産の手続きや保険の請求など、さまざまな法的プロセスの開始点となります。
届け出は死亡を知った日から7日以内に岩国市役所で行います。
この手続きは、葬儀社が代行で提出してくれることもあります。

火葬・埋葬許可証の提出

火葬・埋葬許可証は、故人を火葬または埋葬するために必要な公的な許可書です。
この許可証は、死亡届と同時にまたはそれに続いて岩国市役所から発行され、葬儀や火葬を行う前に必要とされます。
一般的には前述の死亡届の提出の際に、葬儀社が火葬・埋葬許可証も取得してくれます。

14日以内

世帯主変更届の提出

世帯主が亡くなった場合、新しい世帯主を岩国市役所に届け出る必要があります。
この手続きは亡くなった日から14日以内に完了させることが法律で定められています。
届け出をする際には、亡くなった方の死亡届と新しい世帯主の同意書、並びに戸籍謄本や住民票が必要となることが多いです。
この手続きを怠ると、後々の公的手続きで不都合が生じる可能性があるため、迅速な対応が必要です。

国民健康保険資格喪失届の提出

国民健康保険の加入者が亡くなった場合、遺族は亡くなった日から14日以内に資格喪失届を提出する必要があります。
この届出は、亡くなった方の健康保険証を返却することと同時に行います。
提出が遅れると不要な保険料が発生する可能性があるため、速やかに手続きを行うことをお勧めします。
手続きをスムーズに進めるために、死亡証明書や戸籍謄本など必要書類を事前に準備しておきましょう。

3ヶ月以内

相続放棄

相続放棄は、故人の財産だけでなく負債も一切引き継がないという選択です。
この手続きを希望する場合、故人の死を知った日から3ヶ月以内に山口家庭裁判所(岩国支部)に申し立てを行う必要があります。手続きは、申述書を裁判所に提出し、相続放棄が認められると完了です。
相続放棄をすることで、法的に被相続人の相続人ではないことになり、一切の財産と負債を受け継がずに済みます。

限定承認を家庭裁判所に申述

限定承認は、故人の財産から債務を差し引いた範囲内でのみ相続する手続きです。
この選択を行うことで、故人の負債が財産を上回るリスクを回避しながら、ある程度の財産を相続することが可能になります。
限定承認の申し立ても、故人の死を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所への提出が必要です。
岩国市の管轄は山口家庭裁判所(岩国支部)
手続きは、相続放棄と同様に申述書を裁判所に提出し、裁判所の判断を仰ぎます。
限定承認は、相続財産の範囲内でのみ負債の支払い責任を負うため、相続人の私財を守ることができる重要な選択肢となります。

4ヶ月以内

所得税の準確定申告

所得税の準確定申告は、被相続人が亡くなった場合、その年の所得に対して行う必要があります。
この申告は、被相続人がその年の初めから亡くなるまでの期間に発生した所得に対して行います。
準確定申告の期限は、死亡を知った翌日から4ヶ月以内とされており、この期間内に岩国税務署へ提出する必要があります。
準確定申告を行うことで、適切な税金が計算され、支払いまたは還付が行われます。
手続きを怠ると、無申告加算税が課される可能性があるため、期限内に適切に申告を完了させることが重要です。

10ヶ月以内

相続税の申告・納付

相続税の申告と納付の期限は、被相続人の死亡日の翌日から数えて10ヶ月以内です。
相続税は、被相続人の死亡時にその財産が法定相続人に移転することによって発生します。
この税金は、相続財産の総額が基礎控除額を超える場合に課され、相続人は納税義務を負います。
相続税申告では、相続財産の評価や債務の控除、非課税財産の計算など複雑な作業が求められるため、専門家の支援を受けることが一般的です。
申告や納税を怠った場合、延滞税が課されるリスクがあるので、期限内に正確な申告と納税をしましょう。

期限はないが対応が必要な手続きの目安

上記では、役場等への提出期限がある手続きについて解説しました。
次に、期限の定められてない手続きの中で重要なものをとりあげて解説します。
例えば、遺言書の検認、遺産分割協議、調停、審判などです。
これらの手続きは、期限はないものの、関係者間での円滑な進行やトラブル防止のため、迅速な対応が推奨されます。
遺言書が存在する場合には、その内容に基づく行動が必要になり、遺言書に基づかない遺産は協議によって分割を進める必要があります。
これらの手続きは、法的な期限はありませんが、被相続人の意向を尊重し、相続人間のトラブルを避けるためにも、適切かつ迅速に行うことが望ましいです。

7日以内

遺言書有無の確認・検認の請求

遺言書の有無を確認し、存在する場合は山口家庭裁判所(岩国支部)へ検認の請求を行います。
この手続きは、被相続人の死亡を知った日から7日以内に行うことが推奨されます。
遺言書がある場合は、その内容に従って遺産分配を進める必要があります。
検認は公証人役場で行われ、遺言書の公正さを保証するための法的手続きです。
速やかな対応が、遺言の意向に沿った適切な遺産分配を確実に行うための基盤を作るともいえます。

3ヶ月以内

遺産相続人、相続財産の調査・確定

遺産相続人の調査・確定は被相続人の死亡後3ヶ月以内を推奨します。
相続人の範囲を明確にし、遺産分割協議に必要な情報を集めると同時に、相続財産の調査も行います。
これは、遺産の全財産を確定し、後の遺産分割協議で問題が生じないようにするために不可欠です。
この段階で財産の詳細なリストアップと評価を行うことで、すべての相続人が公平な情報に基づいて協議を進めることが可能となります。

4ヶ月以内

遺産分割協議の開始

遺産分割協議を始めるための適切な時期は、被相続人の死亡から4ヶ月以内です。
この期間内に遺産分割協議を開始することで、相続人間の意見の相違や紛争を早期に解決し、スムーズな遺産の処理を目指します。
遺産分割協議では、相続人全員の合意が必要であり、この協議を通じて遺産の分配方法を決定します。

遺産相続に関わる専門家

相続問題において、弁護士、税理士、司法書士はそれぞれ重要な役割を担います。

弁護士や税理士、司法書士の役割と選び方

弁護士

法律的な助言を提供し、紛争が発生した場合の調停や訴訟をサポートします。

司法書士

不動産の名義変更や遺産分割協議書の作成に必要です。
遺産相続における登記手続きを担当し、不動産の正式な所有者変更をサポートします。

税理士

遺産から発生する税金の計算や、相続税の申告手続きをサポートします。

選ぶうえで1番重要なポイントは、その専門家が相続問題に関する経験と知識を豊富に持っていることです。また、相続は感情的にも繊細な問題が多いため、相談しやすく信頼できる人物かどうかも重要です。
地元で評判の良い専門家を選ぶ、過去のクライアントのレビューや推薦を参考にする、初回相談などで実際に話した印象で決めるといった方法で選定すると良いでしょう。
実際に複数の専門家と面談し、自分のニーズに最も合っていると感じる人を選ぶことをお勧めします。

問題へ真摯に向き合ってくれる専門家を見つけましょう

相続問題は複雑で感情的な問題を抱えていることが多く、専門家への相談が非常に重要です。
専門家は法的な側面だけでなく、税務や不動産評価など多岐にわたる知識も豊富です。
専門家の適切なアドバイスを受けることで多くの時間、コスト、精神的ストレスを軽減することができます。

また、相続においては未然にトラブルを防ぐことがカギとなるため、生前対策として専門家に相談することも推奨されます。例えば、適切な遺言の作成、相続財産の適切な評価、相続人間のコミュニケーションの仲介など、多角的なサポートが可能です。
特に、法定相続情報一覧図の作成や遺産分割の提案など、具体的な手続きにおいて専門家の知見は不可欠です。
自分一人で解決しようとすると見落としがちな点も、専門家ならば的確に指摘してくれます。

ただ、専門家の中には業務をこなすだけで、家族の抱える問題解決に向き合ってくれない専門家もいます。相続の悩みは人によって全く異なりますので、真摯に相談にのってくれる専門家を見つけることが円満な相続への近道となります。

岩国で相続に必要な各種手続きができる場所まとめ

岩国市役所

山口県岩国市今津町1丁目14-51(月曜から金曜:午前8時30分~午後5時15分)https://www.city.iwakuni.lg.jp/

山口地方裁判所 岩国支部

山口県岩国市錦見1-16-45(午前8時30分~午後5時)

https://www.courts.go.jp/yamaguchi/about/syozai/iwakunisibu/index.html

岩国税務署

岩国市麻里布町7丁目9番37号/午前8時30分~午後5時)

https://www.nta.go.jp/about/organization/hiroshima/location/yamaguchi/iwakuni/index.htm

司法書士・行政書士 片山竜児事務所へお気軽にご相談ください

代表
片山竜児 Taturu Katayama


平成24年度  行政書士試験合格
平成25年度  司法書士試験合格
平成26年3月 岩国市に事務所を開業

自身も岩国市出身で岩国に貢献したいという想いから、岩国市で司法書士として活躍し〇年以上司法書士業務に携わる。

個人からの依頼からも多く、「困った時に頼れる司法書士」として活躍。紹介からのご依頼を中心に岩国市で多くの案件を解決。『傾聴』によって生まれるコミュニケーションを大切にし、ご相談者様のお悩みがご希望通りに解決できることを重視しています。

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