

役員の変更、会社の移転、支店を増やす・・・様々なシーンで必要となる「変更登記」。
登記簿に記載している情報に変更が生じた場合は、速やかに変更の手続きをする必要があります。
本記事では、変更登記が必要になる主なケース、申請の流れ、そして注意すべきポイントについて解説します。
変更登記とは
会社運営において、組織や運営状況の変更は避けられないもの。
これに伴い、商号(社名)、本店所在地、役員構成などの変更が発生すると、法律に基づきこれらの変更を公的に記録する必要があります。それが「変更登記」です。
変更登記は、企業の信用と透明性を保持するために不可欠です。特に金融機関や投資家、取引先にとって、正確な企業情報は重要な意思決定基準の一つとなるため、登記の情報は常に最新のものにしておく必要があります。
また、法律により、変更が発生した事項については原則として2週間以内に登記する必要があり、この期間を過ぎると「登記懈怠(とうきけたい)」とされ、罰則が科されることがあるので注意しましょう。
変更登記が必要になる主なケース
- 会社の住所変更
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会社の本店や支店の所在地が変更になった場合、変更登記が必要です。この登記は新しい住所を公に示し、法的な書類や通知の正確性を保証するために重要です。
- 役員の変更
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取締役や監査役など、会社の役員に変更があった際も申請が必要です。役員の就任、辞任、解任などが生じた場合、これを記録することで会社の運営責任の明確化と透明性が保たれます。
- 資本金の増減
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会社の資本構造が変わることは、投資家や取引先にとって重要な情報です。資本金の増資や減資が行われた場合、これを登記簿に記録し、公的な認識を更新する必要があります。この登記を通じて、会社の財務健全性の透明性が向上します。
- 会社の商号(名称)変更
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新しい商号に変更する際は、法律に基づき変更登記を行い、商取引の信頼性を維持する必要があります。商号変更の登記は、株主総会の決議後、可能な限り速やかに行いましょう。
申請の流れ
申請方法
書面での申請
書面での申請は、直接法務局を訪れて行います。
登記申請書や株主総会議事録、その他必要に応じた書類を準備します。
提出前に書類に誤りがないかを確認し、必要な署名や押印を施します。
最寄りの法務局に書類を持参し、窓口で提出します。提出時には、登録免許税を支払う必要があります。
オンライン申請
インターネットを通じて行う方法で、時間や場所を選ばずに申請が可能です。
オンラインで登記申請を行うには、法人の電子証明書が必要です。
法務局が提供する申請用総合ソフト(無料)をダウンロードし、必要事項を入力します。
必要な書類をデジタル形式でアップロードし、申請情報を法務局に送信します。
オンラインでの税金支払いも可能ですが、手続きによっては法務局に後日訪れて支払う必要がある場合もあります。
必要書類
変更登記に必要な書類はケースによって異なりますが、一般的には以下の書類が必要です。
- 登記申請書
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法務局のホームページからダウンロード可能です。
- 株主総会議事録
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変更が株主総会の決議を要する場合、この議事録が必要です。
- 役員の就任承諾書
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新たに就任する役員がいる場合に必要です。
- 印鑑証明書
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法人印の登録や変更がある場合に提出します。
その他、会社の事情に応じて住民票のコピー、定款の変更があればその文書などが必要になる場合があります。
自分で行う場合と司法書士に依頼する場合の比較
自分で申請する場合
メリット:費用を抑えられる。自分のタイミングで進められる。
デメリット:手続きの複雑でミスのリスクが伴い、時間もかかる。
司法書士に依頼する場合
メリット:複雑な手続きを代行してくれるので正確性が保証される。
デメリット:費用がかかる
変更登記の注意点
期限が短い
変更登記の申請は、登記事項に変更が生じた日から原則として2週間以内に完了させる必要があります。
この短い期限を逃すと、「登記懈怠(とうきけたい)」とされ、過料が科されるリスクがあります。
特に大きな変更があった場合、速やかに準備を進めましょう。
手間がかかる
変更登記には多くの書類が必要であり、それぞれの書類が正確に記入され、必要な添付物が完備されていることが求められます。株主総会の議事録や役員変更があった場合の承諾書など、具体的な書類内容は変更の内容によって異なります。
書類の準備とチェックには相応の時間と注意が必要です。
費用がかかる
変更登記には登録免許税が必要です。この税額は変更の種類や会社の資本金額によって異なり、計画外の費用が発生することも少なくありません。予想外の費用に備え、あらかじめ登録免許税の料金表を確認しておきましょう。
まとめ
変更登記は、会社情報の正確さを保証し、企業の信頼性を維持するための重要な手続きです。
しかし、この手続きは期限が短く、必要書類の準備など手間もかかるためミスも起こりがちです。
申請の期限を過ぎると罰則が科せられることもあるので、事前に変更登記の流れを整理して挑みましょう。
手続きに不安がある場合は必要に応じて専門家へ相談・依頼も検討してみてください。