遺産分割調停申立て

目次

遺産分割調停とは

遺産分割調停とは、遺産の分割について相続人の間で話し合いがつかない場合に利用することができる、家庭裁判所の手続きです。

家庭裁判所の裁判官と調停委員が、相続人それぞれの主張を聞き取り、話し合いによって相続人全員による合意を目指します(調停委員とは、民間から選出された非常勤の裁判所職員のことで、弁護士などから選任されます)。
遺産分割調停は言わば、家庭裁判所で行う遺産分割についての話し合いです。

遺産分割調停を検討する場面

遺産分割調停を検討する場面は、「遺言書がなく、相続人同士で遺産分割協議を行ったが意見がまとまらない時」です。遺産の分け方には以下の4つの方法があり、上から順番に検討していきます。

  • 遺言書に従う
  • 相続人で遺産分割協議を行う
  • 家庭裁判所で遺産分割調停を行う
  • 家庭裁判所の遺産分割審判に従う

遺産分割調停は3つ目の方法です。遺言書がなく、相続人の間で遺産分割協議を行ったが意見がまとまらない時に、家庭裁判所の助けを借りて遺産分割について話し合うのが遺産分割調停です。

遺産分割調停を申し立てることができる人

遺産分割調停を申し立てることができる人は、基本的に法定相続人または受遺者です。

裁判所のHPには、以下の三者が申立者として記載されています。
厳密に言うとこの三者なのですが、相続分譲受人はレアケースです。
また、共同相続人や包括受遺者も馴染みが薄い言葉なので、平易な言葉で表現すると「相続人または受遺者」となります。

共同相続人

遺産分割が終わっていない状態の法定相続人のこと

包括受遺者

遺言によって財産を特定せずに包括的に譲り受ける人のこと

相続分譲受人

相続分を譲渡された人のこと

遺産分割調停の申立て先

遺産分割調停の申立て先は、以下のいずれかです。

  • 相続人のうち誰かの住所地を管轄する家庭裁判所
  • 相続人同士が話し合いで決定した家庭裁判所

家庭裁判所のHPに、申立て先は「相手方のうち一人の住所地を管轄する家庭裁判所」「当事者が合意で定める家庭裁判所」と記載されています。
この2つを平易な言葉で表現すると、相続人のうち誰かの住所地を管轄する家庭裁判所、または相続人同士が話し合いで決定した家庭裁判所となります。

また、遠隔地に住んでいるなどの相当の理由がある場合は、リモートでの対応が認められる場合もあります。このあたりの判断は裁判所によって異なりますので、詳しくは各裁判所に直接確認しましょう。

遺産分割調停の申立てにかかる費用

遺産分割調停の申立てにかかる費用は以下の2つです。

  • 被相続人1人につき収入印紙1,200円分
  • 連絡用の郵便切手代(申し立て先の家庭裁判所によって異なる)

また、弁護士に依頼する場合は別途、費用がかかります。

遺産分割調停の申立てに必要な書類

遺産分割調停の申立てに必要な主な書類は以下の通りです。

  • 遺産分割調停申立書
  • 土地遺産目録
  • 建物遺産目録
  • 現金・預貯金・株式等遺産目録
  • 当事者目録
  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票または戸籍附票
  • 遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書及び固定資産評価証明書/預貯金通帳の写し又は残高証明書/有価証券写し など)

なお、代襲相続が発生している場合、相続人に直系尊属がいる場合、相続人に兄弟姉妹がいる場合などは、追加で必要となるものがありますので裁判所HPをご確認ください。

遺産分割調停にかかる期間と回数

遺産分割調停にかかる期間は約1-2年です。
また、話し合いは1ヶ月から1ヶ月半の間隔を設けて、平均で7回行われます。

そのため、遺産分割調停がはじまってから終わるまでは、約1-2年という長い期間がかかります。実際に令和2年度の司法統計によると、約51%の遺産分割調停が、6ヶ月以上から2年以内に終わっていることがわかります。

遺産分割調停の流れ

遺産分割調停の流れを説明します。
遺産分割調停は、以下の6つのステップで進んでいきます。

STEP
必要書類を準備する

まず必要書類を準備しましょう。

STEP
家庭裁判所に申し立てる

必要書類の準備が終わったら、家庭裁判所に申し立てましょう。
申立て先の家庭裁判所は、「相続人のうち誰かの住所地を管轄する家庭裁判所」または「相続人同士が話し合いで決定した家庭裁判所」です。

STEP
家庭裁判所から調停期日通知書が郵送される

申立ての約2週間後に、家庭裁判所から調停期日通知書が郵送されてきます。
この調停期日通知書に、初回の調停期日(話し合いの日)が記載されています。
なお、調停は裁判所の開庁日である「月曜日から金曜日(祝日・年末年始を除く)の午前10時から午後5時」の間に行われます。

STEP
調停期日に家庭裁判所に赴く

調停期日になったら家庭裁判所に赴きましょう。

STEP
7回ほど調停期日を繰り返す

調停期日を7回ほど繰り返します。調停期日は1ヶ月から1ヶ月半の間隔を経て行われますので、遺産分割調停が終わるまで約1-2年の期間がかかります。

STEP
合意に至った場合は、調停証書が作成される

遺産分割調停の結果、合意に至った場合は、家庭裁判所が調停証書を作成します。
調停証書は遺産分割協議書と同じ効力を持ちますので、この調停証書をもって、預貯金の名義変更や相続登記などの相続手続きを進めていきます。

STEP
合意に至らない場合は、遺産分割審判に移行する

遺産分割調停で話し合いがまとまらず合意に至らない場合は、遺産分割審判に移行します。この遺産分割調停が不成立になり、遺産分割審判へ移行することを判断するのは調停委員です。
遺産分割審判では、裁判官が当事者から提出された書類や証拠に基づいて遺産分割の方法を判断し、決定します。

司法書士・行政書士 片山竜児事務所へお気軽にご相談ください

代表
片山竜児 Taturu Katayama


平成24年度  行政書士試験合格
平成25年度  司法書士試験合格
平成26年3月 岩国市に事務所を開業

自身も岩国市出身で岩国に貢献したいという想いから、岩国市で司法書士として活躍し〇年以上司法書士業務に携わる。

個人からの依頼からも多く、「困った時に頼れる司法書士」として活躍。紹介からのご依頼を中心に岩国市で多くの案件を解決。『傾聴』によって生まれるコミュニケーションを大切にし、ご相談者様のお悩みがご希望通りに解決できることを重視しています。

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